〇ゲームキャラの能力(ヒール)を得た主人公が異世界で平穏に暮らすために奔走する話です。
僕は比良坂癒希。
探偵じゃないし女の子でもない、普通の男子高校生――でした。
バスが事故って悪魔みたいな性格の女神に異世界送りにされなければ、平穏で安心安全な人生を送れたはずの被害者です。
そんなこんなで僕は異世界で新たな人生のスタートを切ることになったんですが、最初に出会ったのは盗賊団のお頭でした。気さくで楽しい人なんですけど、人さらいを主な生業としているゲスだったので転生1歩目から冷や汗をかきっぱなしです。
もっとも異世界には異世界の慣習っていうか生活があるはずなので、それに関して新参の僕がゲスだなんだと言うのも変かなあとは思います。
だから野犬に囲まれた子猫みたいに震えてる女の子たちを助ける必要もないかなって思うんですけど……いや、まあ、うーん……どうしよう。
ゲスが自主的に木っ端微塵になる能力にすれば良かったなぁ……。
※イラストはタイトルに☆がついている回にあります。
※イラスト提供 Azu様(Pixiv ID 4620328、Twitter @liteazu )