親の仕事の都合で転校を繰り返していた10歳の少年アサギは、
心の寂しさを人に見せまいと大人びた振る舞いをするあまり
転校先で友達のできない学校生活を送っていた。
今度もまた独り……と思っていたところに
小さなきっかけから隣の席の少女サキとだけは心を通わせるように。
家にも学校にも居場所が無かった彼にとって大きな支えとなったものの、
「やっかみ」や「からかい」が酷く、辛い日々を送る。
ある夜。ひょんなことから森に迷い込んだアサギは
さまよううちに知らない世界――異世界に入り込んでしまう。
聖都の片隅、スラム街で乞食として暮らすうち運よく盗賊の親玉に拾われ
生き抜く術を教わり逞しく育った。
5年後。
15歳になったアサギは盗みに入った屋敷で出会った少女ヒナにスカウトされ
成り行きで一緒に旅することに。
それから2年、良きパートナーになった(とはいっても冒険上で恋愛は遅々として進まない)
二人も些細なことからすれ違いが続き……。
アサギは事故で女性化してしまう。
少女になってしまったアサギのことを変わらないと分かりつつも受け入れられず、
自分などいないほうがいいのではないかと心を不安定にし
そこを邪教集団に付け入られ魔力を暴走させてしまうヒナ。
助けに入ったのはアサギの元の世界でのクラスメイトである、この世界でヒナの友人である咲。
そしてヒナが旅の目的にしていた勇者「萌シャル」こと萌木シャルトリューズ。
苦難の末、ヒナと萌シャルは消滅する。
「君たちの世界で待つ」という言葉をアサギと咲に残して。
二人が消滅した後にできた時空の歪みに飛び込み元の世界に戻ったアサギと咲。
でもそこには自分の戸籍は残ってなくて―――
失踪から7年。娘となって帰ってきた息子のことを受け入れ、
恋人探しのサポートをしつつ娘がいたらやってみたかったことを強要してくる父親と、
冷たかった父親の豹変ぶりに嬉しさ半分鬱陶しさ半分の複雑な感情を持つ息子(娘!?)
転移したヒナと萌シャルを見つけることはできるのか!
アサギは親父を「パパ」と呼んでしまうのか――!
父と元息子TSっ娘の素直になれないドタバタ劇!
連載中「野ウサギと木漏れ日亭」後日譚。
「ありがとな、親父」
「ちっちっちっ。分かってないな!こういうときは『パパありがとーー!だーいすきっ!』だぞ!さぁ!ほら!」
「ほらじゃねぇよ」