氷河期世代の孤独な独身男・毛利太一は、死の間際に読んでいた底辺Web小説の世界に転生してしまう。
目を覚ますと、そこは魔王の娘・ファラーシャが登場するファンタジー小説の中だった。
彼が転生したのは、なんと原作には存在しない弟キャラ、魔族の少年・ジュアル。
ゴスロリ美少女な姉ファラーシャがポッと出て小説の主人公にすぐ殺されてしまう役柄だったことに気づく。
「姉さんが死ぬ? そんなの許せるわけがない」
姉の死の運命を回避する為、そして平穏で裕福な生活を守るため、ジュアルは「人間と仲良く」することを誓う。
だが、姉は封印された魔王(=父)の復活を目論み、次期魔王の座を狙う超野心家。
周囲は変人・曲者・ろくでなしぞろいで、ジュアルの足を引っ張るどころか命も狙いかねない。
それでもジュアルは、かつての記憶と現代知識を活かして、封印を調べたり、マンドラゴラを売って商売したり、ささやかな日常を守ろうと奮闘する。
目指すは“人間と魔族がわかり合える未来”――その第一歩は、おやつのボンボンと、夜中のスープ作りから。
姉と生きるために、僕はこの世界でもう一度、人生をやり直す。